COLUMN
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コラム
宇宙太陽光発電実現のための課題
以前お話した宇宙太陽光発電について、もう少しお話ししてみます。
ほぼ1日中発電できる宇宙太陽光発電は夢のエネルギー源ですが、
その実現のために克服されねばならない課題はたくさんあります。
その最たるものが打ち上げコストです。
宇宙エレベータが開発されて、打ち上げが月や宇宙ステーションから行えるようになればコストは
かなり下がりますが、それでもまだ電子工学分野での課題は残ります。
一番の問題は、高周波電流を高効率で整流できる整流素子がまだないことです。
宇宙からエネルギー損失をできるだけ少なく電波のエネルギーを伝搬させるためには、
どうしてもマイクロ波が必要になります。
しかし、現在では最も寄生容量の少ないショットキーダイオードでもマイクロ波帯の整流は難しく、
かなりのエネルギーロスが発生してしまいます。
このことから、ショットキーダイオードよりも遥かに小さい寄生容量の整流器が求められているのですが、
これまでの半導体デバイス作製プロセスなどを駆使してもなかなか実現が困難なようです。
真空ナノエレクトロニクス技術を用いて寄生容量の極めて少ないナノサイズの真空管を作製したり、整流回路
そのものを改良するなどの研究がなされていますが、いずれも見通しは未だ明らかとはいえない状況にあるようです。
夢のエネルギー源である宇宙太陽光発電システムですが、この先さらに研究が進み実現できたなら、
素晴らしいことではないでしょうか。