コラム

原子力発電は、基本的に運転中には二酸化炭素の排出を行わないのでその部分に限って考えると、

環境負荷の少ない発電方式と見ることもできるかも知れません。  

しかし、原子炉は使用期限を越えると廃炉作業という膨大な工数を要する後始末の作業が発生します。

加えて現在の技術では処理不可能な核のゴミ、高レベル放射性廃棄物が必ず発生します。

日本ではこれら廃棄物の保存方法の正式なやり方も決まっていません。  

高レベル放射性廃棄物の最終的な廃棄方法を決めた国は世界中でもまだごく限られています。

日本のように地震も多く極めて不安定な土地で、放射性廃棄物の最終処分が行える場所があるのか、それもまだ研究の段階です。  

原子力発電の発電コストは他の発電方式に比べて低く抑えられることがメリットの一つとされていますが、原子力発電のコストには

廃炉作業のコストや高レベル放射性廃棄物の最終処分にかかる コストなどは含まれていなかったと思います。  

どちらもまだしっかりとした見積もりを行える段階になく、コストや本当の意味で原子力発電が環境に

与える負荷の評価などは先送りされている状態です。  

そういった重要な部分を盛り込まないまま、高レベル放射性廃棄物を増やしていくことになる原子力発電所の運転を

続けていいものなのか、得られるメリットとデメリットを天秤にかけて、 もう一度しっかりと評価する必要があるのかもしれません。